『共用品って何だろう?共用品って知ってる?』 (注:この冊子の構造は、左右両側から違う視点で説明しているものです。 左開きですと「共用品って、何だろう?お家の中で考えてみよう!」、右開きは「共用品って、知ってる?町へ出て考えてみよう!」、それぞれ6ページ目の真ん中からは、観音開きの横に長いページになっています。例えば、左から読み進み真ん中にきたら、反対側の右から読み進み、真ん中のまとめに読み進みます。) ここから左開きで読み進みます。 【左開きP1 表紙】 共用品って、何だろう? お家の中で考えてみよう! (図表:10人の大人が固まって立って、ハートの形状をあらわしている。その脇に子供が2人並んでいる) 【P2】 家族の中でも、一人一人、 いろいろな違いがあるんだね。 ケンタくんの家族は、おじいちゃんとおばあちゃん、 おかあさんとおとうさんと妹のマミちゃんの6人家族。 おかあさんおなかの中には、赤ちゃんもいるよ。 男の人と女の人、お年寄りと子どもたち…。 いろんな人たちがいて、いろいろな個性があるけれど、 一人として同じ人はいないよね。 「共用品」って何かを考えたとき、このことに気がついているかどうかが、 とても大切なんだよ。 (図表:おばあちゃん、おじいちゃん、ケンタくん、おかあさん、マミちゃん、おとうさんが横並びに立っている) 【P3】 男の人と女の人 お年寄りと子ども 右ききの人と左ききの人 身長が150㎝以上ある人とない人 ☆先生やお家のかたへ この冊子は、どちらからでも読み進めることができます。こちら側(共用品って、何だろう?お家の中で考えてみよう!)からは、障害がない人たちも様々な特性をもっており、様々な特性をもった人たちで社会が構成されていることからアプローチしています。反対側(共用品って、知ってる?町へ出て考えてみよう!)からは障害のある人の不便さを知ることからはじめ、真ん中で共用品の意義を説明しています。 【P4】 ケンタくん一家は、それぞれ こんなことで困っているよ。 家族でも一人一人違うから、困っていることも違うんだ。 でも、ちょっと工夫すれば、困ることも少なくなるかも知れないよ。 みんなでいっしょに使ったり、遊んだりできるかも知れないよ。 おかあさんが困っていること (図表:大きなお腹のおかあさんが階段の下り手前で、壁に手をついておりようとしている) 赤ちゃんがいて、 おなかが大きくなっているから、 足元が見えにくくて 階段がこわい ケンタくんやマミちゃんが困っていること 背が低いから 高いところにある モノが取りづらい (図表:ケンタくんがお風呂で髪の毛を洗う時に、頭は泡だらけで目をつぶり、両手にシャンプーとリンスの容器をもっている) 目を開けられないから とくシャンプーとリンスを 間違えてしまう 【P5】 おじいちゃんやおばあちゃんが困っていること (図表:おばあちゃんが容器のフタを取りにくい様子) 手の力が弱いから カンやビンのフタが うまく開けられない (図表:おじいちゃんがテレビの前で両手を耳にあてている) 耳が聞こえにくいから テレビの音が よく聞こえない おとうさんが困っていること (図表:おとうさんとマミちゃんが向かい合ってトランプをしている) 左ききなので、ちょっと みんなと トランプがしづらい (図表:トランプが何枚か扇形にひらいている) 左ききだと 数字が消える ☆先生やお家のかたへ 異なる特性をもった家族の、それぞれ困っている点をあげました。一人一人が違うということから、ある人には平気なことでも、困ってしまう人がいることに気づかせてあげましょう。 この点に気づくことが、「共用品」を知る基本になります。 (共用品って、何だろう?お家の中で考えてみよう!の部分はおわり) ここから右開きで読み進みます。 【右開きP1 表紙】 共用品って、知ってる? 町へ出て考えてみよう! (図表:子供2人を含む11人が固まって立っており、ハートの形状をあらわしている) 【P2】 町には、いろいろな障害のある人たちがいるよ。 ケンタくんと妹のマミちゃんは、おかあさんと一緒に電車でお買い物。すると、 もうすぐ赤ちゃんが生まれるおかあさんのために、 みんなが席をゆずってくれたんだ。 次の駅で、白いつえをついた人が乗ってきて、 おかあさんに聞くと、目の不自由な人なんだって…。 それで、ケンタくんとマミちゃんは席を立って、 空いている席を知らせてあげたよ。 でも、障害のある人って、 どんなことで困っているの…? (図表:電車の中で乗車している人が子供を含めて5人、着席して眠っている男性、読書をしている男性、お腹の大きいおかあさんを真ん中に子供たちが両側に座っている) 【P3】 目の不自由な人 白いつえをついている人が多いよ。 (図表:白いつえをついている男性) 耳の不自由な人 耳には補聴器をつけていたり、 手の動きでお話(手話)している人がいるよ。 (図表:車内のドアの前の2人の女性が手話で会話している) 足の不自由な人 車いすを使っている人もいるよ。 (図表:電車の中で、車いすにのっている男性) ☆先生やお家のかたへ この冊子は、どちらからでも読み進めることができます。こちら側(共用品って、知ってる?町へ出て考えてみよう!)からは、障害のあるかたの不便さを理解することからアプローチし、反対側(共用品って、何だろう?お家の中で考えてみよう!)からは障害はなくても人にはさまざまな特性があるということからはじめ、真ん中で共用品の意義を説明しています。 【P4・P5】 障害のある人たちは、 それぞれこんなことで困っているよ。 障害のない人にはわかりづらいけれど、 こんなにも困っていることがあるんだ。 障害のある人の気持ちになって、 どうすれば困らなくできるか、考えてみようよ。 みんなで使えて、みんながうれしくなるモノや、みんなに便利な道具や乗り物があると いいかもしれないね。 (図表:電車内に、先ほどのお腹の大きいおかあさんを真ん中に子供たちが両側に座っている。困っている人たちを見てびっくりしている) 耳の不自由な人が 困っていること 電車やバスのアナウンスが聞こえない 名前を呼ばれても気づかない 危険な状況にも気がつかない (図表:耳の不自由な女性が駅のアナウンス「〇〇駅」というのが聞こえない様子) 目の不自由な人が 困っていること モノがどこにあるのかわからない 行き先、方向がわからない どんなモノなのかわからない どんな状況なのかわからない (図表:目の不自由な人が、電車の開いたドアから中に乗ろうとしている) 足の不自由な人が 困っていること 大きな段差があると前に進めない 無理な体勢がとれない 高い所へは手が届かない (画像:車いすの男性が片手をあげている) ☆先生やお家のかたへ 様々な障害のある人たちが、それぞれ困っている点をあげました。様々な人たちが困っている点を知ることは、より多くの人に使いやすい「共用品・共用サービス」について考えるための基本です。自分とは違う人のことを知り、その人のことを考える気持ちを育むよう、ご指導ください。 (共用品って、知ってる?町へ出て考えてみよう!の部分はおわり) 【観音開きP6】 いろいろな人が困っていることに気づいたら、 みんなでどうすればいいか、考えてみようよ。 子どもたちやおじいちゃん、おばあちゃん、障害のある人たち…。 いろいろな人たちが、それぞれ、必要なモノを使っているけれど、 困ったこともいっぱいあるみたいだね。 みんなが困っていることと、それをなくそうという気持ちや アイデアを持ち寄ってみると…。 (図表:いろいろな人たちがジョウロで中央の植物の芽に水をかけようとする。そのジョウロに以下の言葉が記されている。中央の芽は一般製品と福祉用具という文字の土から芽生えている) 困っていること 発見 知恵 協力 アイデア 工夫 不便さ 提案 (図表:土の中の様子) ここではみんなの周りにある普通のモノを一般製品といっているよ。 障害のある人や介護が必要な人専用に作られたものを福祉用具というんだよ。 【観音開きをあけるP7真ん中から】 みんなが使いやすくて、楽しくなるように、 みんなで考えると、「共用品」が生まれるんだ。 みんなの気持ちと知恵がたくさん集まると、一般製品や福祉用品をもっと、みんなに便利なモノにすることができるね。 そんなふうに工夫された製品のことを、「共用品」と呼ぶんだよ。 みんなが大きくなったころには、もっと「共用品」がいっぱいになって、みんなで、いっしょに、いろんなことができるといいね。 (図表:大きな木の左上に、目の不自由な人とマミちゃんが大きなコーヒーカップにいっしょに入っている。 おとうさんとケンタくんは木の右側にいっしょにジェットコースターに乗り両手をあげている。 おかあさんは木の一番上の展望台から手をふっている。 木の左下では、おばあちゃんと耳の不自由な人が本をみて笑っている。 木の右下にはおじいちゃんが木に吊るされたブランコに乗ったケンタくんをおしている) 耳の不自由な人や 耳の遠くなったおじいちゃんにも わかりやすい、うれしい工夫 テレビの字幕放送 (図表:テレビの字幕をおじいちゃんがみている) 耳の不自由な人にもうれしく、 話してはいけないところでも 大切な用事がわかるうれしい工夫 携帯電話の 着信を知らせる振動や メール (図表:耳の不自由な人が携帯電話の画面をこちらにみせている) 共用品ワールドを 大きく育てましょう。 みんなの気持ちや知恵をそそいで、 共用品を大きく育ててほしいんだ。 そして、もっと多くの人に 共用品の大切さを伝えに行こうよ。 耳の不自由な人や目の不自由な人、 文字が読めない人にもうれしい工夫 音声や文字・絵の両方による、 お知らせや誘導のためのご案内 (図表:おじいちゃんと耳の不自由な人と目の不自由な人とケンタくんが、駅構内のアナウンス、非常灯やトイレ、道案内、車いすのサインを聞いたり、見たりしている) 【観音開き左】 「共用品」には、こんな工夫がされているよ。 みんなの周りの、いろいろなところで、「共用品」が使われているよ。 どんな工夫がされているか、見てみようね。 (図表:おばあちゃんがフタのついたウェットティッシュ箱の口の手前にあるボタンを押してフタを開けている。 目の不自由な人がボトルの横のギザギザをさわっている。ケンタくんが、切り欠きのある牛乳パックからコップに注ごうとしている。) 力が弱くなった おばあちゃんも開けやすい工夫 開けやすいカンやビン、 容器など 手でさわった感じで リンスとの違いがわかる工夫 シャンプー容器のギザギザや 牛乳パックの「切り欠き」 例えば、「共用品」のトランプなら、みんなでいっしょに遊べるよ! 右きき用トランプから、ちょっとした工夫で、右ききと左きき対応の、四隅にマークと数字をいれます。そこからちょっとした工夫で目の不自由な人への対応で、カードを少し大きめにして、数字やマークを見やすくして、点字をつけます。そこから、ちょっとした工夫で、手の不自由な人への対応で、さらにカードホルダーをつけて持ちやすくします。 (図表:それぞれのちょっとした工夫をトランプ表示にしている) 【観音開き右】 背が低い人や車いすの人も 使いやすい工夫 郵便局や銀行などにある、 低い筆記台 (図表:郵便局にある低い台でケンタくんが書いている) 段差がこわいおかあさんや 車いすの人のための工夫 駅などにある、ゆるやかなスロープ (図表:駅のスロープでおかあさんが手すりにつかまりながら歩き、その後ろから車いす使用の人がおりてくる) ☆先生方やお家の方へ 「身体的な特性や障害にかかわりなく、より多くの人々が共に利用しやすい製品・施設・サービス」が「共用品・共用サービス」の定義であり、次の三者を包括する概念ともされています。 (1)一般製品の利用上の不都合をなくすバリア解消設計 (2)初めから全ての人々を対象に、適合するよう考える共用設計 (3)福祉用具をもとに一般化した福祉目的の設計 (上記をあらわす図の説明 三つの楕円が横に重なっています。) 一つ目の円は一般製品のみのⅠ(一般製品) 一般製品と共用品が重なった部分がⅡ(上記(1)のバリア解消設計製品) 共用品のみのⅢ((2)の共用設計製品) 共用品と福祉用具が重なった部分がⅣ((3)の一般化した福祉目的の設計製品) 福祉用品のみのⅤ(専用福祉用具) 共用品推進機構は、1991年から自主的な活動を続けてきた市民団体「E&Cプロジェクト」を発展的に解散し、1999年4月に設立した公益法人です。共用品・共用サービスの開発と普及を目的に、不便さ調査、配慮点の検討を含む多角的な活動を行っており、この冊子発行もその活動の一環です。 ※この冊子は、日本児童教育振興財団からの助成を受けて制作されました。 【奥付】 公益財団法人 共用品推進機構 〒101-0064 東京都千代田区神田猿楽町2-5-4 OGAビル2F TEL 03-5280-0020 FAX 03-5280-2373 e-mail:jimukyoku@kyoyohin.org https://www.kyoyohin.org/ 多くの人に見やすい冊子づくりを目的とし、文字のタイプや色のコントラスト等に配慮して制作しています。 発行:公益財団法人 共用品推進機構 制作:株式会社グリックス 監修:慶應義塾大学教授 中野泰志 禁無断転載複写 2019.12.8000.H