インクル156号 2025(令和7)年5月25日号 特集:原点 Contents 令和7年度共用品推進機構事業計画~共生社会(アクセシブル社会)実現に向けて~ 2ページ 台湾共用品普及協会創業の物語 4ページ ユニバーサル農業~農業と福祉の世界会議~ 5ページ 家電製品のUD・ADの原点(から) 6ページ 包装のアクセシブルデザインの原点 7ページ 福祉用具の原点から 8ページ ガス・石油機器のUD・ADへの取り組み 9ページ アクセシブルデザイン標準化の原点 10ページ 「当事者参画」による交通バリアフリーの推進 11ページ パラスポーツの原点―1964東京大会の2つのレガシー 12ページ キーワードで考える共用品講座 第146講 13ページ ともともフェスタ2025 ~迎賓館からはじまる共生社会~ 14ページ 文京区「ゼロから ぼら活!」共用品推進機構出展 15ページ 事務局長だより 16ページ 共用品通信 16ページ 2ページ 令和7年度共用品推進機構事業計画 ~共生社会(アクセシブル社会)実現に向けて~  公益財団法人共用品推進機構は、共用品・共用サービス(高齢者・障害のある人々等日常生活に不便さのある者に対しても利用しやすいよう配慮された製品及びサービスをいう。以下同じ。)の調査研究を行うとともに、標準化の推進及び普及啓発を図ることにより、製品及びサービスの利便性を向上させ、高齢者・障害のある人々を含めた全ての人たちが暮らしやすい社会基盤づくりの支援を行うことを目的として活動しています。  令和7(2025)年3月、理事・監事の書面審議により、令和7年度の事業計画が承認されました。本誌では主な事業についてご報告します。 調査研究  より多くの人々が、暮らしやすい社会となるために必要な事項の把握、製品・サービス・システムに関する配慮・考慮点の基準及び普及に関しての調査・研究プロジェクトの設置を検討します。 ①製品・サービス・システム等に対して、障害児・者、高齢者のニーズを把握、確認するためのアンケート調査、ヒヤリング、モニタリング調査を実施し、製品・サービス・システム供給者と需要者が連携できる仕組みを構築し推進します。 ②これまでに行ってきた共用品モニタリング調査を基に、障害当事者団体・高齢者団体等と連携し、関係業界、関係機関(業界団体、企業、公的機関等)が共用品・共用サービス・共用システムに関するモニタリング調査を容易に実施するための支援システムを構築し恒常化するために必要な事項の分析を行い、合理的且つ有効なモニタリング方法を確立させるよう取組みを行います。 ③共用品市場規模調査及び手法に関しての分析を引き続き行い、調査対象の範囲並びに今後共用品を普及するために必要な事項の課題抽出を行いながら調査を実施し、共用サービスにおける市場規模の調査の可能性を継続して検討します。 標準化の推進  アクセシブルデザイン(高齢者・障害者配慮設計指針)の日本産業規格(JIS)及び国際規格(IS)を作成するために、国内外の高齢者・障害者配慮の規格に繋がるための調査・研究・検証を行います。 ①これまでに行ってきた国際標準化機構(ISO)内のTC173(障害のある人が使用する機器)及びTC159(人間工学)等に提案し承認された規格の推進、「新たな日常生活におけるアクセシビリティ配慮設計指針(仮タイトル)」などの国際規格の制定に向けて審議します。さらに開発したアクセシブルサービス(共用サービス)の検証を行うとともに、職場、店舗、消費者窓口、医療、公共施設、イベント等の共用サービスに関する既存のガイドライン及び各種ニーズ調査等を整理・分析します。 ②開発すべき共用サービスの個別規格の体系図を基に、関係する業界団体等と連携して、新規のアクセシブルサービス(共用サービス)ガイドライン作成の検討を行うとともに共用サービスのパンフレットを作成します。 普及・啓発  展示会主催者等に協力し高齢者・障害者配慮実践に関する普及・啓発事業を継続する。また、共用品の展示に関しては共用品展示セットを作成し、関係機関と連携した展示会を実施しより多くの人たちに共用品及び共用品の考え方の普及を継続して行います。 ①普及・啓発の一環である講座・講義に関しては、一般の方々、就学前の子どもから大学生ごとに、コンテンツ、ツール(共用品のサンプル、PPT、ビデオ等)、配布資料等を用意し、対面及びオンライン講座の充実を図ります。さらにより多くの機関で、共用品講座を行えるような仕組みを構築し継続して検証します。 ②海外においては、連携のある台湾の団体を中心に共用品の普及、啓発を行います。 ③調査結果や取組みにおける成果は、共用品推進機構情報誌『インクル』をはじめ、ウェブサイトやメールマガジン、報告書など複数の方法を用いて、より多くの方々が、可能な限り自由に閲覧できるようなアクセシビリティに配慮した仕様になるよう検討を続けます。  今年度もどうぞよろしくお願い致します。 4ページ 台湾共用品普及協会創業の物語 社団法人台湾共用品普及協会 藍佩君(らんぺいじゅん) 設立年月日  台湾共用品普及協会は2025年3月8日に設立されました。企業や社会から同じ考えを持つ人々が集まり、台湾における共用概念の促進の実現可能性と将来の計画について議論しています。 発起人代表が長年、日本の共用品推進機構と関わりがあり、台湾でも共用品の概念がとても重要ということを広めるため、多くの人々を説得し集まったことで、日本の共用品推進機構の注目と支援も得て正式に設立されました。 メンバー  協会の会員は、学界、企業、社会団体などさまざまな業界や分野から集まっています。協会の会員には医療分野の専門家だけでなく、活動に積極的に参加するボランティアや一般の人々も多くいます。  協会の会員の背景と多様性により、社会のあらゆる階層をカバーしています。プラットフォーム運営、教育推進、イベント運営など、分野やニーズに合わせて連携していきます。 協会の事業計画  台湾共用品普及協会の主な事業は次の通りです。 1.共用品・共用サービスのプラットフォームの構築と運営:協会は共用品プラットフォームを構築し、共通のニーズに合わせて設計された特別な共有エリアを提供します。 2.共用品・共用サービスのプロモーション活動を定期的に開催する:共用品・共用サービスに関する知識を一般に公開するためのさまざまな活動を定期的に開催します。 3.バリアフリー施設と共用品・共用サービスコンセプトの推進:協会は台湾政府部門と緊密に協力し、公共建設、交通、社会サービスなどの分野で共用品と共用サービスコンセプトを推進します。 4.地域との協力と経験の共有:さまざまな地域との協力に積極的に参加し、経験の交換や共同研究を行います。 5.共用品および共用サービスの標準化の促進:高齢者や障害のある方々にとって、交通機関、住宅設備、公共空間などの分野で日常生活をより便利に送れるように、共用設備の標準づくりに参画し、その整備を支援します。 6.共用品・共用サービスに対する社会的認識と受容の促進:社会的受容を高めるために、広報活動および調査活動を継続的に実施します。 7.企業との連携:企業との連携により、高齢者や障害者など誰もが利用しやすい共用空間やバリアフリー空間を創出します。 日本の共用品推進機構との協力  協会は、日本の共用品推進機構と緊密な協力関係を保っています。両組織間の協力は、主に次の側面に反映されています。 ・経験の共有と交流:シェアリングエコノミーの発展経験と課題を交換し、シェアリングプロダクト分野での両国間の協力を促進する方法を共同で検討するため、定期的な会議やセミナーが開催します。 ・学術と政策の連携:共同で学術研究を進め、特に政策の面で、グローバリゼーションの背景の下で共用品の発展を推進する方法を研究します。  両国の政策対話は、より統一された効率的な国際的共用品フレームワークの構築に役立ちます。 ターゲット社会  協会の最終目標は、高齢者、障害者、その他の特別なニーズを持つ人々を含むすべての人が快適に暮らせる、より包括的で便利で持続可能な社会を構築することです。 協会は、共用品・共用サービスの開発を推進することで、誰もが住みやすい社会環境づくりを目指します。例えば、協会は次の目標を達成したいと考えています。 1.インクルーシブな社会施設:誰もが平等な生活環境を享受できるよう、バリアフリーの施設や適応性の高い社会基盤を整備する。 2.社会的責任意識の向上:社会的な責任に対する国民の意識を高め、共用品・共用サービスの普及を促進し、さまざまなグループ間でのリソースの共有を可能にします。 5ページ ユニバーサル農業~農業と福祉の世界会議~ 京丸園株式会社 鈴木厚志(すずきあつし)  2025年1月30・31日に静岡県浜松市においてユニバーサル農業シンポジウム「農業と福祉の世界会議」が開催されました。 浜松市農林水産課が取り組みを始めて20年の節目となることを記念し、地域の実践者、研究者、農業・福祉・商工各行政で構成する浜松市ユニバーサル農業研究会が中心となり、 韓国・台湾からの研究者をお招きし活動報告と今後の研究活動の意見交換が行われましたので報告させていただきます。 ユニバーサル農業とは  近年、日本は農業人口の減少、耕作放棄地の拡大、自給率の低下という状況で農業が衰退している問題に直面しています。この問題を解決し農業を成長産業にする目的で2004年から活動が始まりました。  この問題を解決するために用いられているのがユニバーサルデザインです。私達は、あらゆる障害を無くすデザインで農業を変えて行くことができるのではと考えています。 多様な人達が活躍できる働きの場を作り出すことによって人が集まればそこには、知恵と労力が集まります。 人が離れていく農業をユニバーサルデザインすることは、人が集まる農業となりそこには、ひと・もの・かねの循環が成り立ちます。 20年の研究成果  農業をユニバーサルデザインするにあたり協力を求めたのは、障がいのある人達です。そのままでは働きにくい人を農業現場で雇用することで「現状では働けない(現状の不具合)」を見える形にしてもらいます。 普通の障がい者雇用では、仕事ができなければ採用されないか訓練して仕事ができるようになるかの選択になると思いますが私達が障がいのある人達にもとめたことは農業(職場)の不具合なのです。 一番最初に浮き彫りになったことは、「作業指示があいまい」でした。作業指示は、具体的であり相手に伝わらなくては何の意味もありません。 私達の農業現場では「ちょっと水をかけておいて」「きれいに洗って」みたいな言葉を作業指示だと思って使用していました。 こんな作業指示を聞いてどうすればいいかわからない仕草をしていると仕事ができない人と評価しているのです。 「100ccの水を与える」「スポンジで5回こする」と伝えれば、障がいのある人達も正確な仕事を始めてくれるのです。 農業現場の私達がユニバーサルデザインの視点を持ち、現場や自分自身を変化させることで多様な人達と仕事ができるようになりました。 私達の農園でこの取組をおこなった結果、図1のような組織となりました。障がいのある人達が働ける場には、高齢者や女性が集まり勤続年数が長いという成果です。 農業と福祉は世界的な共通課題  ユニバーサル農業の研究を世界に発信していくと韓国・台湾の研究者が強い興味を示していただき交流が始まりました。彼らのユニバーサル農業の期待は、「地方創生」なのです。 日本もそうですが韓国・台湾は少子化、人口減少が社会問題になっています。これにより人が都会に集まるようになり地方が疲弊していくことを危惧しているのです。 地方には、農業があります。この農業をユニバーサル農業の視点でデザインすることで地方に人が集まり活性化させようとしているのです。世界の研究者と共に多様な人達の活躍の場の創出を研究して行きます。 図1:ユニバーサル農業の成果 図2:世界各国と交流 6ページ 家電製品のUD・ADの原点(から) 一般財団法人家電製品協会 家電業務部 樋口達雄(ひぐちたつお)  おかげさまで家電製品協会(以下、家製協)は1974年9月の発足以来、50年の節目を迎えることできました。関係各位に改めて御礼申し上げます。昨年7月には「誰一人取り残さない社会への貢献~ユニバーサルデザインの先端開発~」と題した記念講演会を開催、来賓の早稲田大学藤ふじもと本浩ひろし志先生と共用品推進機構星川さんに活動をお褒めいただきました。 今回、「原点(から)」というお題で執筆依頼をいただいたことから諸先輩の活動の一端をご紹介します。  家電製品は1980年代になるとマイコンを組み込むことで視覚による動作状況の表示を中心に操作性を向上させてきました。 しかし、視覚障がいのある方々にとってはかえって扱いにくい製品が増加する傾向にあり、「生活の道具であるはずの家電製品は、健常者だけの視点でもの作りをしている。 視覚障がい者にも使えるような家電製品を作ってほしい」との要望をうけ、1987年、消費者関連委員会の中に視力障害関連WGを設置、これがUD・ADに関する原点のようです。  1990年には家電製品操作性研究会を立ち上げ、工業技術院からの要請で「家電製品の操作性向上に関する調査研究」を実施、1992年9月には(株)トミー(現タカラトミー)商品開発部に勤務しながら(社)日本玩具協会やE&Cプロジェクトで活動していた星川さんにヒアリングさせていただきました。次に、当時から継続している活動をご紹介します。  1991年に「視覚障害者にも使えると思われる家電製品 機種名一覧表」を発行、2001年度からUDの視点で選択基準を見直した「ユニバーサルデザイン配慮家電製品リスト ―高齢者・障害者にも使いやすいと思われる家電製品―」として発行、現在に至るまで更新しながらHPで公開しています。  1994年には調査研究をまとめた「家電製品 操作性向上のガイドライン―もっとやさしく、もっと使いやすく―」を発行。2年後には工業技術院がJIS規格にしました。 同年、「家電製品のバリアフリー化はどうあるべきか」というテーマで調査研究を開始、1998年には「凸記号表示に関するガイドライン」、1999年には「高齢者・視覚障害者にも使いやすい家電製品 開発指針」を発行しました。 どちらもJIS規格に採用されました。  2001年には、さまざまな障がい者の方の支援のため、報知方法を増やすべく「報知音に関するガイドライン」を、2006年には「点字表示に関するガイドライン」を発行、どちらもJIS規格に採用されました。 2009年には「報知光に関するガイド」、2015年には 「音声案内に関するガイド」を発行しました。 2018年度からは急速に普及するスマホに代表されるICT機器との連携に関して検討を開始、2021年に「ICT機器連携に関するアクセシビリティー一般要求事項」としてまとめました。  直近では2022年度からスマホの振動報知機能を活用する研究を推進、翌年度からは藤本研究室との共同研究を開始し、現在、ガイドラインとしてまとめるべく検討を加速しています。 これからも家製協は、新しい技術も活用しながらさらに家電製品の操作性向上に努めるなど、誰一人取り残さない社会の実現に貢献してまいります。 写真:操作性向上のガイドライン 7ページ 包装のアクセシブルデザインの原点 公益社団法人日本包装技術協会 平野晃(ひらのあきら) 包装のアクセシブルデザイン  包装には様々な役割がありますが大きく二つに分けられると考えています。  一つ目は内容物を安全に、適切な量と価格で、欲しい時に何時でも、何個でも入手できて、さらには便利に使えて、最後には簡単に廃棄できることです。  二つ目は内容物や使用方法に関する情報を正しく伝えて製品の選択や使用方法に間違いがなく、安全で快適に使えるための表示とデザインです。  それらの役割を使用者の年齢、性別、感覚機能、身体機能、認知力、言語、生活様式や文化の違い及び使用環境に関わらず、最大限可能とすることが包装のアクセシブルデザインだと考えています。 アクセシブルデザインの規格  JISやISOに包装のアクセシブルデザインの規格があり、包装設計上の留意点、評価方法、科学データなどが記載されています。  参考となる事例の紹介もあり、開封部や注意事項を明示するための文字のフォント、大きさ、太さ、配色が記載され、さらに牛乳パックの上部の切り欠け、シャンプー容器の凸記号、缶入りお酒の蓋の点字などの触知記号が紹介されています。  重たい製品には取っ手を付けたり、持ちやすいための窪みを設け、キャップや容器の蓋にはつかみやすく滑りにくい工夫があり、紙の箱にはミシン目を入れて開けやすく、潰しやすい構造が紹介されています。  実際にはコスト、生産性、表示可能な面積などの制約の中で可能な限りの設計に各企業が取り組んでいます。 包装のアクセシブルデザインの原点とは?  包装は見た目が良いことが重要と思っていましたが、35年前に食品会社の包装設計担当となり、使いやすい構造、見やすい文字と配色、表示に間違いがないことが最優先と知り、認識を改めました。  その後、ユニバーサルデザインを導入して、二重の軍手や黄色いゴーグルを着用し、評価表に沿って使いやすさと見やすさを評価するようになりました。  当時を思い起こすと使いやすい、解りやすい包装へのモチベーションは企業間の競争意識ではなく、製品を購入して頂いた方への敬意であり、この敬意がアクセシブルデザインの原点だと考えています。 これからの包装のアクセシブルデザイン  ISOの包装部門では「環境」と「アクセシブルデザイン」を情報技術活用によりイノベーションを推進することを戦略に掲げています。  一方国内ではアクセシブルデザインは知名度、訴求力ともに環境には及ばない状況です。包装に関わる企業が協力して新しいアクセシブルデザインを開発し、多くの製品に利用され、より不便のない社会になることを期待しています。 写真1:解りやすい包装の事例 写真2:使いやすい包装の事例 8ページ 福祉用具の原点から 公益財団法人テクノエイド協会 黒岩嘉弘(くろいわよしひろ) 世界の福祉用具の歴史  福祉用具は、古代エジプト文明にも存在し、杖や義肢の原型などが発掘されています。また、中世ヨーロッパでは、戦傷者のための義肢や松葉杖などがより使いやすく発展してきました。 さらに近代では、産業革命による技術革新もあり、車いすや補助器具が普及してきました。現代は、テクノロジーの進化により、電動車いすやAIなどを搭載した福祉機器が登場しています。 我が国の福祉用具の動き  我が国の近年の福祉用具は、戦後のリハビリテーション医学の発展や社会福祉制度の整備とともに昭和24年に成立した身体障害者福祉法により、補装具の公費支給制度が始まりました。 さらに、平成12年には、介護保険法が創設され、高齢者の自立のために「福祉用具貸与」が位置付けられ福祉用具の普及がさらに進んできました。 障害者を支える福祉用具  厚生労働省の調査によると我が国の身体障害者数は436万人となっています。障害者の方々にとって福祉用具は、日常生活の質を向上する為に重要な役割を果たしています。 我が国では、障害者総合支援法に基づき、補装具や日常生活用具の給付が行われています。補装具には義肢、車いす、補聴器などが含まれ、日常生活用具には入浴補助用具や歩行補助つえなどが含まれます。 高齢者を支える福祉用具  高齢社会白書によると65歳以上の被保険者数は、3623万人(令和5年)で総人口に占める割合は29%となりました。 また介護給付費実態調査によると令和5年4月の福祉用具の貸与受給者数は、267万人に達し、居宅サービス受給者の63%が利用されており、今や福祉用具は、高齢者の在宅介護生活を支える基盤となっています。 今後の福祉用具の動向  日本の高齢者人口は2042年にピークを迎えると予測されており、それに伴い福祉用具の需要も増加する見込みです。  AIやIoTを活用したスマート福祉用具が普及し、利用者の生活の質向上や介護者の負担軽減に貢献すると考えられています。 また、人口減少による人材不足は、深刻な問題です。介護業界全体の人材不足を補うため、ICT技術の活用や業務のデジタル化が進められています。 テクノエイド協会の取組  最近、福祉用具の事故等が増えてきています。 当協会では、再発防止の観点から、事故が起きる原因等の分析や情報提供の方法等について調査・研究し、福祉用具等の安全利用に関する情報について、協会のホームページで紹介しています。 難聴は認知症の危険因子の一つ  ところで、難聴は認知症の危険因子の一つと考えられており、補聴器の使用が認知機能の低下を抑制する可能性があるとする研究もあります。 難聴があると、コミュニケーションが難しくなり、社会的な孤立につながることがあります。これが脳への刺激を減らし、認知機能の低下を引き起こす可能性があるのです。 補聴器を使用することで、聞こえの改善だけでなく、社会的な交流を維持しやすくなり、結果として認知症の予防につながる可能性があるとされています。  当協会は、適正な補聴器販売を行う「認定補聴器専門店」を指定し店頭に掲示するとともに協会のホームページで公表しています。 イラスト:事故のイメージ QRコード:テクノエイド協会HP:https://www.techno-aids.or.jp/ 9ページ ガス・石油機器のAD・UDへの取り組み 一般社団法人日本ガス石油機器工業会 河東亮(かわひがしりょう) ガス・石油機器利用の始まり  わが国において、ガス機器の利用が始まったのは、1872(明治5)年に横浜の馬車道に設置されたガス灯が、石油機器はそれより前の1866(慶応2)年に、英国製の灯火ランプが最初だと当会記念誌に記されています。 その後、大正・昭和の時代を経て、照明から、調理、給湯、暖房にも利用されるようになりました。 当工業会の設立と機器の発展  戦後、エネルギー源が薪・炭・石炭からガス・石油・電気へと移行するにつれ、ガス・石油機器も一般に広く普及し始めました。 このような背景から、1961(昭和36)年に当工業会が設立され、規格の制定や検査機関の統一化が行われました。  高度経済成長期や安定成長期を経て、人々の暮らしが豊かになると同時に、ガス・石油機器の機能・性能も大きく発展しました。 我々の製品はガスや灯油の高燃焼エネルギーを利用するため、より一層の安全性確保が求められます。 そのため早い時期から、立消え安全装置、不完全燃焼防止装置、対震自動消火装置など様々な安全機能が搭載され、その後も数々の事故を教訓として、日々新しい安全機能を搭載し続けています。 特に2008・9年、ガスでは全口に調理油過熱防止装置・消し忘れタイマーのついたSiセンサーコンロに、石油ではカートリッジタンク口金の安全性強化・給油時自動消火・不完全燃焼防止機能を強化したPSCマーク品に切り替わり、その後も進化は続いています。 また、給湯は家庭エネルギー消費の1/3を占めるため、より省エネ性能の高い潜熱回収型給湯機としてガスのエコジョーズ、石油のエコフィールなどが開発されております。 AD・UDへの対応  当工業会では、2010年に高齢者・障がい者配慮設計ガイドラインを制定し、操作部の視認性・操作性、報知音・音声ガイドなど、様々な人が使いやすいよう配慮した設計を行うことを定め、文字の大きさ・色とコントラストを見やすくすること、ボタンのサイズや配置、操作部の位置なども考慮することとしております。  さらに最近では、入浴中の急激な血圧変動が原因で年間1万7千人もの方が亡くなっているという深刻な実態があります(2015年)。これは当時の交通事故死者数約4千人の4倍を超える非常に大きな問題です。 ヒートショックは気温の低い冬に、特に高齢者に起こりやすく、入浴の際の急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで、失神し溺死するというケースが典型的な例です。 これらの事故から、同居の高齢者を守るため、浴室暖房機や近年では入浴時の見まもり機能がある製品も開発されています。 具体的には、ドアセンサーや人感センサーで浴室への出入りを検知、入浴すると水位センサーで浴槽への出入りを検知する機能です。 入浴時間が長い時には、チャイムでお知らせ、台所リモコンへ状況を報知する機能が搭載されており、高齢者の安全な入浴を見まもります。  このように当工業会は、これからも社会のニーズに応えるべく、安全・安心で環境に優しいガス・石油機器の普及と発展に貢献してまいります。 図1:見まもり機能 10ページ アクセシブルデザイン標準化の原点 一般財団法人日本規格協会 産業系規格開発ユニット・消費者系規格チーム 堀越太(ほりこしふとし) ISO/IEC Guide 71  我が国は、世界に先駆けて超高齢社会を迎えたことを受け、1998年に高齢者・障害者に配慮した製品・サービス・生活環境を実現するための規格開発を国際標準化機構(ISO)へ提案し、2001年に「ISO/IEC Guide 71:Guide for addressing accessibility in standards」が制定されました。このGuide 71は、障害をもつ人々への配慮に加え、年齢、性別、文化、経済状況など、あらゆる違いを持つ全ての人々を包含するインクルーシブな社会の実現に貢献し、「何らかの機能に制限のある人に焦点を合わせ、これまでの設計をそのような人々のニーズに合わせて拡張することによって、製品や建物、サービスをそのまま利用できる潜在顧客数を増やそうとする設計」と定義されるアクセシブルデザイン(以下、AD)の原点です。 JISの現状と課題  Guide71は、2003年にJIS Z 8071:規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針として制定されました。以降、積極的な取り組みによって、AD関連JISは2024年4月までに48規格(図1)まで増加、そのうち約30規格は国際規格として発行されました。  国内のAD市場規模は、(公財)共用品推進機構の2023年度調査報告によると、1995年時点では4700億円でしたが、現在では3兆円となっています。この成長は、社会全体のアクセシビリティへの意識向上に加え、AD関連JISの整備も貢献していると考えられます。しかしながら、現48規格には課題も存在します。具体的には、対象とする障害が限られていたり、サービス分野との連携不足等が挙げられます。SDGsがめざす共生社会の実現には、既存規格が影響する範囲を精査し、標準化することが必要な内容を把握して、誰一人取り残すことがないようADに関するJISの充実を図っていく必要があります。 ユーザー中心設計の重要性  標準化はあくまでも手段です。真のアクセシビリティの実現には、ユーザーニーズを深く理解することと柔軟な対応が不可欠です。規格に完全に適合していても、ユーザーにとって使いにくいデザインでは、アクセシビリティが実現しているとは言えません。視覚に障害があるユーザーには音声ガイド、聴覚に障害があるユーザーには字幕、さらに認知機能に課題をもつユーザーにはシンプルなインターフェースが必要となるように、Guide 71を参考にしながら、常にユーザー視点に立ち、ユーザー中心設計(User-Centered Design:以下、UDC)に基づいた対応が重要です。 真のインクルーシブ社会に向けて  Guide 71は、ADの標準化の原点ではあるものの、インクルーシブな社会実現のための必要条件の一つに過ぎません。社会全体の意識改革やUDCの徹底など、多面的な視点を持って有機的に連携することで初めて真のインクルーシブ社会が実現します。具体的な連携としては、例えばアクセシブルデザイン推進協議会における関連業界団体との継続的な情報共有や高齢者・障害者配慮の施策の普及・促進活動、ユーザーテストによるフィードバックの積極的な活用などが挙げられます。今後も官民連携によるAD関連JISの整備により、ユーザー視点の重視を通して、全ての人が快適に利用できる社会の構築を目指していきます。 図1:アクセシブルデザイン関連JIS 11ページ 「当事者参画」による交通バリアフリーの推進 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団 企画調査部 吉田雅俊(よしだまさとし)  交通エコロジー・モビリティ財団は、1994年9月の設立以降、交通バリアフリーを推進するための調査研究など、「人と地球にやさしい交通を目指して」活動しています。 取組の原点は「当事者参画」  交通バリアフリーとは、「高齢の方や障害のある方など、移動に制約がある方が、公共交通機関を利用して円滑に移動できる環境を実現していくこと」だと考えています。一言で移動に制約のある方といっても、その対象は幅広く、社会環境にバリアがあることで直面する移動上の困りごとやニーズはひとりひとり異なります。利用者ニーズを把握するためには「当事者参画」が欠かせません。その原点は、財団設立直後の阪神・淡路大震災後の鉄道駅等復興プロジェクトにさかのぼり、現在においても財団のDNAとして継承されています。 本稿では、私たちが取り組む活動の中から、交通事業者の職員を対象に「当事者参画」で実施しているバリアフリー研修を紹介します。 当事者が講師を担う研修  私たちが主催する「交通サポートマネージャー研修」は、主に鉄道事業者とバス事業者の職員を対象にした2日間のバリアフリー研修です。プログラムのほとんどすべての時間帯に障害当事者が講師として参画し、公共交通機関を利用して移動する際の実体験に基づくニーズや課題を伝えるとともに、講義・実技・ディスカッションのそれぞれの時間を通じて、講師と受講生が対話を図り、相互理解を深めていくことがこの研修の最大の特徴です。  2009年度からこの研修プログラムを本格実施し、これまでに2000名以上の方々が修了して公共交通事業の現場などで活躍しています。私たちがこの研修に取り組む以前から、海外ではすでに障害当事者が参画した研修が行われており、アメリカで実施されている研修を視察するところからこの取り組みがスタートしました。視察結果をもとに障害当事者や有識者の方々との議論を重ねて国内の交通事業者を対象としたプログラムを組み立て、内容の見直しを図りながら継続的に研修を実施しています。 「当事者参画」の効果  2日間の研修には、毎回10名以上の障害当事者の方々が参画し、それぞれの視点や経験から現場で役立つ対応のポイントなどを伝えます。受講生が業務中には聞くことができない素朴な疑問を質問する様子も見られ、単純に知識を学ぶだけでなく、意識の変化にもつながる研修です。研修後のアンケートでは、ほとんどすべての受講生が「研修に障害当事者が参画することは効果的」と回答しており、このような結果からも「当事者参画」の取り組みを行う意義を実感しています。 組織改正のお知らせ  弊財団では今年4月から、交通環境対策と交通バリアフリーの推進に取り組む各部門を統合し、「企画調査部」を立ち上げました。これからも「当事者参画」を大切に、それぞれの部門の強みを生かした活動を推進していきます。 写真:研修中のディスカッションの様子 写真:研修ウェブサイト 12ページ パラスポーツの原点―1964東京大会の2つのレガシー 公益財団法人日本パラスポーツ協会 仲前信治(なかまえしんじ)  スポーツを取り巻く社会環境が大きく変化する中、健康長寿社会や共生社会の実現、地域や経済の活性化、デジタル化の中での人との豊かなつながり等、スポーツを通じた社会課題の解決に期待が高まっています。この現状に対応して、ウェルビーイングの向上に向けてスポーツ権の実質化を図る観点から、平成23年度の制定から14年振りとなるスポーツ基本法改正に向けた法案が国会に提出される見通しのこの5月、公益財団法人日本パラスポーツ協会(以下、JPSA)は設立60周年を迎えます。パラスポーツの振興を通じて、多様性を認め合う活力ある共生社会の実現を目指すJPSAの設立を、日本におけるパラスポーツの原点の一つとして振り返ります。 中村裕(なかむらゆたか)博士と1964東京パラリンピック  世界で初めて同一都市で2回目のパラリンピックを開催した東京。1964年大会の実現のキーパーソンの一人が、整形外科医の中村裕博士です。中村博士は1960年に欧米のリハビリテーションの実情を視察する中で、イギリスロンドン郊外のストークマンデビルにある国立脊髄損傷者センターの院長であり、「パラリンピックの父」と称されるルードヴィヒ・グットマン博士と出会います。グットマン博士の実践する〝手術よりスポーツ〟による治療が多くの人の社会復帰の実績を挙げていたことに着目し、帰国後はその普及に尽力し、1962年にはグットマン博士が主催する国際スポーツ大会(ストークマンデビル大会)に日本選手の参加を実現します。こうした行動力が関係者の目に留まり、中村博士は1964年10月のオリンピック開催が決まっていた東京でのパラリンピック開催の準備委員会に協力することとなりました。 2つのレガシー:日本パラスポーツ協会と太陽の家  1964の東京パラリンピックはスポーツのレガシーはもちろん、当時の日本の障がい者施策に大きなインパクトをもたらし今なお発展するレガシーを残しました。スポーツのレガシーとはJPSAの設立です。1964大会の終了を受ける形で、わが国の身体障がい者スポーツの普及・振興を図る統括組織として、「財団法人日本身体障害者スポーツ協会」の名称で昭和40年に厚生省(現 厚生労働省)の認可を受けて設立され、名称変更や監督省庁の移管等を経て現在に至っています。  もう1つのレガシーは、1965年10月に中村博士が大分県別府市に設立した社会福祉法人太陽の家です。No Charity, but a Chance(保護より働く機会を)を掲げ、障がいのある人の働く場づくりに取り組み、多くの人が社会復帰しています。「身体に障がいがあっても働く能力は関係ない」、仕事や生活の場におけるユニバーサルな環境づくりを実践する太陽の家。設立60年を迎えてなお進化するその理念と取組みに、国内外から益々の注目が集まっています。 画像1:JPSAコミュニケーションマーク 画像2:太陽の家のシンボルマーク 13ページ キーワードで考える共用品講座 第146講 「福祉用具産業政策からみた共用品の原点」 日本福祉大学 客員教授・共用品研究所 所長 後藤芳一(ごとうよしかず)  政策対象とするには、産業のバイタルである市場規模が必要だ。市場規模を把握するには、何がその産業を構成するかの定義が要る。福祉用具産業政策の視点から、共用品を対象に加えた原点を整理する。 1.福祉用具産業政策の立上げ  「福祉用具法」(1993年10月施行)により、福祉用具の開発と普及を産業政策で進めることになった。95年6月にて通商産業省に医療・福祉機器産業室が設置され、政策が始まった。「福祉用具産業懇談会」(機械情報産業局長の懇談会)で政策ビジョンをまとめた。  ビジョンは「福祉用具産業の明日を拓く」(懇談会第1次中間報告〈96年8月〉)、「福祉用具産業政策の基本的方向(同第2次報告〈97年5月〉)、「福祉用具産業政策‘98―共用品、知の共有、流通ほか―」(同第3次報告〈98年5月〉)の3回。福祉用具の定義と共用品の扱いは、3つのビジョンを経て漸進的に定まった。 2.第1次報告(周辺領域を概算)  第1次報告で初めて福祉用具の範囲を定義した。急がれたのは高齢者・障害者の自立支援、介護支援、環境改善など福祉用具法が主な対象とした伝統的福祉用具の扱いだった。これらを「コア領域」とし、その外縁を「周辺領域」とした。  周辺領域は「汎用性が強く健常者への利便の効果の大きいものや、出版物等関連サービスに関するもの」とした。コア領域は用具別に調べて1993年度から、周辺領域は94年度から「ラフ推計」として概数(400億円)を充てた。いわばダミーの位置づけであり、第2次報告でも踏襲した。 3.第3次報告(共用品を周辺領域に)  第3次報告は各論3点を議論した(第1次と第2次報告は総論中心だった)。共用品もその一つにした。コア領域の市場規模調査が立ち上がり、残る周辺領域に着手した。通産省の調査費を充て、E&Cプロジェクトが検討した。97年12月に福祉用具産業懇談会の市場規模の部会(「福祉用具市場規模動向専門部会」)に作業チーム(「共用品市場規模調査推計委員会」)を設け、共用品を「周辺領域」に充てることの当否を考えた。  結果は、①福祉用具/共用品/一般製品の関係(共用品は両者の中間にあり、独自部分と両者に重なる部分がある)、②一つのモノで複数の障害種別(視覚、聴覚、肢体、高齢)に対応することを条件とする、などを整理して、共用品を周辺領域に充てることとした。 4.原点といま  原点は今につながる。立ち上げ期の特徴の第1は、「順次立ち上げ(″ローリングスタート〟)」方式。「周辺領域」は最初ダミーの扱いで後に共用品を充てた。コア領域自体も、遡り修正しつつ2―3年で定常化させる方法にした。立上げ期の時間制約のためである。  いまコア領域の市場規模は日本福祉用具・生活支援用具協会が福祉用具の市場規模として、周辺領域は共用品推進機構が共用品の市場として毎年公表している。ともに最初は速報値を公表し、後で確報にしている。第2は、コア領域と共用品の重複。コア領域(「福祉用具〈狭義〉」)と周辺領域を合わせて「福祉用具(広義)」になるが、コアと周辺は4品目が重複する。3.①で行った定義による。第3に、共用品の定量的把握。福祉用具(狭義)が1兆6354億円(2022年度)に対し、共用品は3兆1389億円(22年度)と、福祉用具全体の成長を担う。統計を整備したことで、その後の共用品の普及拡大を数値的に把握する結果になった。  第2次と第3次の中間報告は通商産業調査会刊、市場規模の定義を段階的に進めた経緯は、拙論「福祉用具産業政策の評価に関する研究」(2001年3月東京工業大学博士論文、第4章)にある。  政策立上げ期の大筋は、拙論「福祉用具法の30年―産業政策の立上げ期を中心に―」(日本生活支援工学会誌(第23巻第2号、2023年12月「特集:福祉用具法施行30年」)に掲載)、詳細は上記拙論第3章にある。 14ページ ともともフェスタ2025 ~迎賓館からはじまる共生社会~  5月30日、31日、障害の有無に関わらず、共に「楽しむ」経験を通じて相互理解を促進し、「障害の有無を気にせず楽しめる運営モデル」になることを目的に、特別感のある場所、東京都港区にある迎賓館で、内閣府主催のイベント「ともともフェスタ2025~迎賓館から始まる共生社会~」が行われます。 迎賓館とは  迎賓館は明治42年に東宮御所として建設されました。その後、外国からの賓客を迎える国の迎賓施設へと改修を施し、和風別館の新設と合わせて昭和49年に迎賓館として新たに歩みを始め、現在に至っています。また、迎賓館は日本の建築を代表するものの一つとして、国宝に指定されています。 ともともフェスタ2025  イベントは迎賓館の前庭で行われ、ステージでのパフォーマンスのほか、ワークショップや体験コーナーがあり、花王、XSEED、シー・エヌ・エス、全国手をつなぐ育成会連合会、ユニコーン、全日本ろうあ連盟、Halu、日本聴導犬協会、日本財団、みんなで作る音楽祭in小平実行委員会、ミュージックシェアリング、タカラトミー、日本知的障害者福祉協会、日本発達障害ネットワーク、筑波技術大学などの障害当事者団体、支援機関が出展します。共用品推進機構も障害のある人たちからのニーズを受け止めてより多くの人たちの便利につながった製品とともに「合理的配慮」を分かりやすく伝えるブースで参加します。 杉並区の協力  今回、合理的配慮を分かりやすく伝えるにあたり、杉並区にご協力いただき、ガイドブック「みんなの社会に向けて 合理的配慮って何だろう?」を参考にしました。このガイドブックは、両側から読めるようになっており、障害当事者や支援者の目線と、事業者等の目線それぞれの目線から始まり、中間までいくと両者が出会い、対話し、お互いが納得した実施可能な案をみつける構成になっています。 最後に  イベントが行われる2日間は、無料で迎賓館に入場できます。是非、お越しください。 田窪友和(たくぼともかず) ともともフェスタ2025 https://tomotomofesta2025.jp/ 杉並区合理的配慮に関するガイドブック https://www.city.suginami.tokyo.jp/s036/18388.html 写真1:迎賓館赤坂離宮ガイドマップ 写真2:ともともフェスタチラシ 15ページ 文京区「ゼロから ぼら活!」 共用品推進機構出展  2月16日(日)に、文京区社会福祉協議会(東京都文京区)が主催する「ゼロから ぼら活!(ゼロぼら)」に出展しました。「ゼロぼら」は、様々な団体がブースを出展し、参加者に活動を体験してもらったり、団体の活動を知ってもらったりするイベントです。1日でいろいろなことをゼロから体験し学ぶことができるので、そう呼ばれています。 街の中にある障害のある人や高齢の人などに配慮したマーク  10月に東京都千代田区で開催された「ふれあい福祉まつり」に出展した際、福祉に関するマークをクイズ形式で出題し、回答していただくコーナーを設けました。大変好評でしたので、文京区でのイベントでは千代田区版クイズをアレンジして文京区版クイズを作成し実施しました。文京区でも、子どもから大人まで、また外国の方々にも興味を持っていただくことができました。  特に「ヘルプマーク」、「マタニティーマーク」、「高齢者運転者標識(高齢運転者マーク)」は認識率が高く、優先席に使用されている「高齢者優先席」「障害のある人・けが人優先席」「妊産婦優先席」「乳幼児連れ優先席」「内部障害のある人優先席」などは電車やバスで見るので知っていると答えた方が多いマークでした。 今後の課題  一方、マークは知っていても、そのマークの意味については知らなかった方々も多くみられました。マークはその機能などと共に分かりやすく理解できるように普及検討を続けていきたいと思います。  さて、共用品推進機構ウェブサイトでは「共用品クイズ~共用品博士になれるかな?」シリーズを公開していますが、新たにマークのクイズも作成しました。是非チャレンジしてみてください。 森川美和(もりかわみわ) 写真1:会場 写真2:触ってマークを確かめる子ども 写真3、写真4:クイズに挑戦している来場者 QRコード:マークの共用品クイズ URL:https://forms.office.com/r/sFyprDk9Rg 16ページ 原点は「あけぼの学園」 【事務局長だより】 星川安之  1978年、学生だった私は、何か手伝いができればと、東京世田谷区三宿にある「あけぼの学園」を訪問した。そこには、保育士、看護士、理学療法士たちの歌・音楽に合わせて、重度の肢体自由と知的障害を重複している子供たちが麻痺した手・足で感情を表現している姿があった。保育士の一人が「ここの子ども達が遊べるおもちゃがもっとあったら」の一言は、数学の応用問題のように聞こえ、トミー工業に入社するきっかっけになった。  あけぼの学園を訪問してから47年の月日がたった今年の3月、内閣府主催の会議があり、当事者団体、関係団体が集まった。開始前に隣の方と名刺交換したところ名刺に「あけぼの学園長」とあった。47年前に受け取った応用問題に、どう取り組んだかをいつか報告できたらと思っていた人たちである。  あけぼの学園等複数の施設を統括する社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会の理事である青あおき木建たつるさんから、その場で「再来園を歓迎します」の言葉を受け取り、4月9日、47年ぶりにあけぼの学園を訪問。建物は新しくなっていたが、「誰をも受け入れる空気」は一つも変わっていなかった。10時になるとリフト付きのワゴン車が次々に到着、車椅子にのった就学前の子どもと親御さんは一階のたんぽぽグループへ、18歳以上の人たちは2階のゆりグループへと向かう。47年前と変わらず、温かな空間が作られていた。変わっていたのは、手作り・市販も含め、多くのおもちゃが棚に並べられていたことだ。手に持ちやすい小さめの飲料ボトルの中に、異なる液体・モノを入れてさまざまな遊びができる玩具、遊び方もオンラインで伝えてくれる「あそびむし」という「おもちゃセット」など、応用問題への答えがそこにあった。  栗原潤(くりはらじゅん)園長は、社会に開かれた施設を目指し、近隣の小学校、大学、ガールスカウトなどと交流を重ねると共に、隣接する公園での防災訓練を主催し、近隣住民との距離をハード・ソフト両面から縮め、そして、なくす貴重な努力を続けている。  それは、次男に重症心身障害児をもった北浦雅子(きたうらまさこ)さんが1964年に発足した「全国重症心身障害児(者)を守る会」の「最も弱いもの一人ももれなく守る」という理念でもあり、療育、相談、交流事業を通じて、あけぼの学園がさまざま工夫をこらしている実践そのものと、改めて実感させていただいた。 共用品通信 【イベント】 富山幹太郎名誉会長 旭日中授章 受賞お祝いの会(3月19日) 理事・監事・評議員オンライン意見交換会(3月31日) 【会議】 ともともフェスタ2025WG(3月13・27日、4月17・24日、5月8・15日) 網膜色素変性症協会 共用品WG(4月3日、5月8日) 台湾共用品普及協会 会議(3月17日、4月7日) 【委員会】 ISO/ TC159 /WG2 感染症対策規格の審議(4月23日) 【講義・講演】 葬儀と合理的配慮(全葬連)(3月26日、星川) 国立特別支援教育総合研究所第三期特別支援教育専門研修(視覚障害教育専修プログラム)(3月12日、森川) 重度訪問介護者向け共用品講座(3月18日、星川) 【報道】 時事通信社 厚生福祉 4月4日 聴導犬を育てる仕事 時事通信社 厚生福祉 5月9日 東京都中途失聴・難聴者の集い トイジャーナル 4月号 講座 共生社会への山登り トイジャーナル 5月号 あけぼの学園 高齢者住宅新聞 3月号 点字ブロックの日 高齢者住宅新聞 4月号 醤油差し シルバー産業新聞 5月号 螺旋階段で行く二階席 アクセシブルデザインの総合情報誌 第156号 2025(令和7)年5月25日発行 "Incl." vol.26 no.156 The Accessible Design Foundation of Japan (The Kyoyo-Hin Foundation), 2025 隔月刊、奇数月25日に発行 編集・発行 (公財)共用品推進機構 〒101-0064 東京都千代田区神田猿楽町2-5-4 OGAビル2F 電話:03-5280-0020 ファクス:03-5280-2373 Eメール:jimukyoku@kyoyohin.org ホームページURL:https://www.kyoyohin.org/ja/ 発行人 富山幹太郎 編集長 星川安之 事務局 森川美和、櫻井眞季、小林友美子、関戸菜美、田窪友和 執筆 河東亮、黒岩嘉弘、後藤芳一、鈴木厚志、仲前信治、樋口達雄、平野晃、堀越太、吉田雅俊、藍佩君 編集・印刷・製本 サンパートナーズ㈱ 表紙 NozomiHoshikawa 本誌の全部または一部を視覚障害者やこのままの形では利用できない方々のために、非営利の目的で点訳、音訳、拡大複写することを承認いたします。その場合は、共用品推進機構までご連絡ください。 上記以外の目的で、無断で複写複製することは著作権者の権利侵害になります。