インクル157号  2025(令和7)年7月25日号 特集:「初(はつ)」 Contents アクセシブル・ブックスの入り口として~本の総合カタログBooks~ 14ページ より アクセシブル・ブックスの入り口として~本の総合カタログBooks~ 一般社団法人日本出版インフラセンター 落合早苗(おちあいさなえ)  Booksは、1997年に日本書籍出版協会の「「データベース日本書籍総目録」として誕生しました。 2019年に日本出版インフラセンター(JPO)の下部組織「出版情報登録センター(JPRO)」のデータベースと統合、運営もJPOが引き継ぎ、本の総合カタログとして生まれ変わりました。 この年の6月に「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)が成立・施行され、Booksは読書に困難を抱える方にとっても使える道を探りはじめます。 本の総合カタログを目指して  2022年10月には、紙の書籍だけでなく、電子書籍も検索できる(ただし、底本が紙書籍であるものに限る)サイトにリニューアルします。 電子書籍は文字の拡大ができるだけではありません。 キンドルストアなどの一部の書店では、制作の仕方によって、合成音声読み上げ(TTS)ができる電子書籍もありました。 障害の有無にかかわらず、読みたい本の選択肢を増やすことは、読者の利便性につながるものと考えました。  さらに2023年3月には、ウェブアクセシビリティの規格JIS X 8341―3:2016「A」に準拠し、音声読み上げに対応しました。 翌2024年3月には、国立国会図書館のAPIを通じて、国立国会図書館やサピエで閲読可能な点字データやDAISYデータに関する情報も表示できるようにしました。 一方、JPROのデータベースでは、オーディオブックの登録も開始しました。 電子書籍の点数も、さらにはTTS対応の点数も増えていきました。 雑誌の登録も本格的にはじまって、Booksで検索できる出版物は、今や400万点を超えるまでに膨らみました。 文字通り本の総合カタログへと着実に進化しています。 今年2025年4月には、「アクセシブルブックを探す」に絞った機能を付加し、専用コーナーを設置しました。 読書をあきらめないでほしい  盲学校には、サピエ図書館が利用できることや、図書館でリクエストすれば、対面朗読のサービスを受けられることを知らない児童や生徒、保護者が案外多いそうです。 はじめから本を読むことをあきらめてしまっているのでしょうか。大変悲しいことです。  本好きにとってはあたりまえのように手に入る新刊の情報を、誰にでも届けられるようにすること。 アクセシブルブックを今後どう増やしていくかは、とても大事ですが、それ以上に本の情報そのものにアクセスする道を広げていきたいと思います。 写真1:本の総合カタログBooks QRコード:https://books.or.jp