誰もが自由に移動できる社会へ シンテックス株式会社 代表取締役 八木澤 恭子 (やぎさわ きょうこ) 階段や段差は、普段の生活ではあまり気に留めないものですが、病気や大きな事故を経験した人にとっては、自宅の玄関から道路に出るためのたった4、5段の階段であっても、家族や社会との時間を遠ざける「大きな壁」になることがあります。そうした壁をなくし、誰もが自分らしく暮らせるよう、日々の生活に寄り添う製品づくりを心掛けています。 タスカルシリーズ「いす式階段昇降機」と「段差解消機」 当社のタスカルシリーズには2つの製品があります。一つは、高齢者や体の不自由な方がいすに座ったまま階段を安全に上り下りできる「いす式階段昇降機」です。簡単なレバー操作で動作し、屋内・屋外、階段形状を問わず、既存の建物にある階段をそのまま利用して設置ができるのが特徴です。 もう一つは、車椅子に乗ったまま段差を乗り越えることができる「段差解消機」です。ボタン操作だけで動作し、車椅子だけでなくベビーカーなどにも幅広く活用いただけます。段差対策としてスロープが一般的ですが、スロープを設置するのに広さが足りない場所でも、省スペースで設置ができるのが利点です。 日本の階段を見つめ続けて 「いす式階段昇降機」が初めて日本に輸入された約40年前、それは日本人の体格や日本の住宅事情には合わない規格の製品でした。「日本人に合った使いやすい製品にし、より自由に移動できる環境にしたい!」との想いから、約30年前に国産のいす式階段昇降機を発売いたしました。 2002年には、一人の社員の「車椅子を利用している身内の不便さを解消したい」との声をきっかけに「段差解消機」を開発し、車椅子の方でも安全に移動できる機器の製造も手掛けました。 このような家の中での移動の自由は、今では街の中へも広がっています。近年では、公共施設や商業施設でも導入が進み、小さな不便さの解消の手助けをしています。 今後の展開 現在、タスカルシリーズの一部製品には、故障の原因を音や数字でお知らせする機能を標準搭載しております。また、力のない方のためにより操作のしやすい大きめのジョイスティックに変更できるオプションもございます。 こうした取り組みに加え、本年10月に開催された「国際福祉機器展(H.C.R.2025)」では、段差解消機に視覚に頼らず操作できる「音声案内機能」を搭載した新製品を出展し、多くの皆さまに関心をお寄せいただきました。 今後、多様な方々の意見を取り入れながら、どなたにも聞き取りやすい音域や話す速さにに配慮した音声、判別しやすい色のコントラストの提案など、共用品推進機構様の取り組みから得る知見をもとに、誰もが使いやすい製品となるよう改良を進め、共用品の輪が広がる活動を推進してまいります。